この男、偽装カレシにつき
私の無残な財布を見ながら、いたわりの言葉をかけてくれるそんなジェントルメンと違って、


「足跡柄なんて、お前にしちゃオシャレじゃん」


そもそもの元凶である橘センパイは、そんな暴言を吐きながら私の隣に腰を下ろした。


なんて嫌味なヤツ!
ていうか、私の財布をそんなエキセントリックな柄にしてくれた元凶はアンタだっつーの!


アンタがその無駄にキラキラした容姿でそこらじゅうの女をたらしこむから、こんなことになったんでしょーが!


しかも、なんか中身が若干減った気がするし。
今日の昼食はコイツに奢ってもらったっていいくらいじゃない?


そんでもって、ランチセットだけじゃ気が済まないから、デザートもつけてやろうかな、なんて思ったとき。


「隼人」


背後から女の人の声がして、私たちは一斉に振り返った。
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