この男、偽装カレシにつき
つまり何が言いたいかというと、こんなヤツは全然タイプじゃないってこと!


それなのに。
なぜか知らないけど、私の愛しの大野センパイの親友だったりするからタチが悪い。


そんな橘センパイが今、ものすごーく迷惑そうな顔で私と腕時計を見比べる。


「悪いけど、今は誰とも―――」


「間違えました!」


私の言葉に橘センパイが驚いたように目を見開く。


はっっ!
しまった!!
好きでもない相手に振られるのも癪だから、ついつい橘センパイの言葉を遮ってしまった!!!


センパイのその端正な顔が徐々に歪んでいく。
ま、まずい。
怒られる前に、早く取り繕わねば。
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