この男、偽装カレシにつき
コントロールミスにも程があるっつーの。
文句の一つでも言ってやろうと立ち上がったとき。
周りから聞こえてきた声に私は耳を疑った。


「いい気味かも」


「ちょっとスッキリした」


クスクスと小さな笑いまで起こってる。


それも一人や二人じゃない。
恐る恐る周りを見回すと、私に向けられてるのは同情じゃなくて嘲笑だった。


そっか。
バービーは間違って私にかけたんじゃない。


彼女や周りの子たちみたいな橘センパイのファンからすれば、私は水をかけられて当然の存在なんだ。
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