この男、偽装カレシにつき
途端に背中がゾクッとする。


あからさまに実行に移したのがさっきのギャルやバービーだっただけで。
私に敵意を持った子は、想像以上にいるのかもしれない。


『調子に乗ってんじゃねーよ』
不本意だけど、さっきのギャルのその言葉は当たっていた。


私は確かに、大野センパイの側にいられることに浮かれて、橘センパイのカノジョというポジションを甘く見てた。


周囲の不特定多数から敵意を向けられるのがどれだけ怖いか、全然分かってなかった。


本当に、悲惨。
まるで私の財布だ。
打たれ強い方だとは思ってたけど、さすがにへこむよ。


濡れたせいで冷たいわ、悲しいわ、悔しいわで、いっそ消えてしまいたくて床にうずくまったとき。


パサ。
私の上に暖かいものがかぶさった。
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