この男、偽装カレシにつき
そしてふと違和感を覚えた。


何で今、橘センパイはコップを避けなかったの?


サッカー部はサボりがちとは言え(しつこい)、運動神経のいいセンパイならきっと簡単に避けられるくらいのタイミングだった。


少なくとも顔くらい手で覆えば良かったのに。
まるで自分から濡れに行ったようなもんじゃん。


ていうか。
そもそも、あんなこと言って挑発なんかしなきゃ良いのに。


私に向かってたバービーの怒りの矛先を、わざわざ自分に向けるようなこと言うなんて。
センパイって結構マヌケ…。


―――って。
あれ?!


それってもしかして。
私を庇ったってこと?


私は半信半疑で橘センパイを見上げた。
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