ダブル☆ラブ☆ゲーム
「はよ~っ!ゆづ」



教室に入ると朝から爽やかな笑顔を見せる真哉。



あの日から毎日のように話してる。



私の体は後ろを向く為に常に右にねじってる状態。



先生に怒られる事にも慣れちゃった。



「おはよ~。今日もダルいね~。つか早くない?」



「ゆづより早く来るのが俺のマイブームなの」



「たった一日じゃマイブームって言わないよ」



冷静な言葉を放って自分の席にカバンを置く。



このジメったい机も嫌い。



だって湿気でベトベトするんだもん。



梅雨明けは一体いつからなの?



「今日もゆるふわカールキマってるよっ!」



真哉が嫌味を言って来たから横目でジロリと睨んでやった。



「別に午後巻き直すからいいしっ」



「あ、今日昼飯一緒に食わねぇ?」



は!?



急に何を言うんだこの男は。



「なんであんたと」



「紹介したいダチがいるんだよ」



「誰それ?つか紹介すんのにわざわざなんで一緒に食べなきゃなんないの?」



「うるせぇ~な~。いいから決まり!なっ?」



「ちょっ…」



「朝のHR始めるぞー」



ちょうど担任が教室に入って来たからこの話しは一時中断となってしまった。



納得がいかないでモヤモヤしているうちに昼休憩になった。



「柚月~!購買行こう~」



クミ達が財布を持って私の席に来た。



「あー・・・うん」



そう言って席を立とうとしたら



「ごめん!今日の昼、コイツ借りるわ!!」



イキナリ真哉がグイっと腕を掴んで私を引き止める。



「ちょっ・・・!!」



「え??なになに??二人で一緒に食べるのぉ!?」



ミウがビックリしてかなりテンパってるのがよく分かる。



「そ♪行こうぜゆづ」



真哉は私の腕を掴んだまま教室のドアの方へずんずん歩いて向かった。



「違う!二人じゃないの!
また後で事情話す!!!」



私はまるで警察に逮捕されてパトカーに連れ込まれる犯人かのように



ズルズルと引っ張られながらそう一言だけ言い残して教室を出た。



「ちょっと!もうっ!離してよ!誤解されちゃうじゃん!」



「いーじゃん別に。あ、愛斗?俺。今教室出たわ~!」



真哉は怒る私を尻目に構わず電話をかけ始めた。



マナト?



今日のランチのもう一人の相手ってマナトって言うんだ。



つか誰やねん。



何組やねん。



全然嬉しくもない私はふてくされた顔をしながらテクテクと真哉の後を付いて行った。
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