ダブル☆ラブ☆ゲーム
こんな真哉を見るのは初めてだったから私はなんだか悲しくなった。



いつも自信たっぷりで我が道を行くのが真哉だったから。



その影には苦しみがあったんだなんて・・・



あの女の子も今は明るく振舞ってるけど



人の夢を潰したって罪悪感がまとわりついて離れないんだろな・・・・



そんな二人が一緒にいる姿はなんだかとても悲しい気がする。



「まぁだからって変に気使うなよ?別に本気でバスケ続けて将来NBAプレーヤーになろうなんて今は思ってもねーからさ。つかそんなん無理だっつーのな?」



そう言って笑って見せた。



「別に・・・気なんか使わないし」



「そう言うと思った。で、現実受け入れる事ができなくて心が荒れ放題だった時期にコイツ、愛斗に出会ってさ。最初は爽やか過ぎて気に食わなかったけど、心が洗われるっつーの?愛斗と一緒にいたら人生捨てたモンじゃないなって思うようになってさ。マジ出会えてよかったと思ってる」



今まで黙って話を聞いていた愛斗が真哉の言葉を聞いて優しく微笑みかけた。



いつもの私だったら「うわっ!キモ!あんた達ゲイ!?」ってツッ込んでたと思うけど



今この場を包んでいる空気があまりにキレイ過ぎて



そんな冗談が言えない雰囲気だったから私は黙って俯いた。



「まーまままま、こんな暗い話は置いといて、本題に入るとしますか」



パンッと真哉は一発手を叩くと



その場の空気をガラリと変えた。



「え?本題?」



まぁ何か裏があるとは思ったけど



「その話はいいから真哉」



愛斗がうんざりした顔をした。



「なに?」



私が構わず真哉に聞くと



「実はコイツにこの夏彼女作ってやろーと思ってさ。でもあんま女に慣れてねーからゆづに友達としてリハビリしてやって欲しいと思って」



真哉はいたずらっ子みたいな顔をして提案してきた。



リハビリって具体的にどんな事だろう?



「高2の夏って言ったら青春真っ盛りだろ?さすがにこのまま愛斗を恋愛知らずにしておくのはもったいないと思わねーか?」



「余計なお世話じゃないの?」



私がバカにしたような目で真哉を見たら少しムっとした表情になった。



「一体どこまで冷たいんだよ。
とにかくゆづだったら愛斗の女慣らしに最適だと思ったからさ。それともゆづのダチで愛斗みたいなのがタイプの女いるか?」



そう言われて私の頭の中で友達の顔がスライドショーのように流れた。



・・・・・ダメだ



みんな全然違うタイプが好みだ。



「いないなぁ」



「じゃあやっぱりゆづがリハビリの相手としてコイツとダチになってやってくんねーかなぁ?」



「え~っっ!?」



思わず思いっきりめんどくさそうな声を出しちゃった。
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