ダブル☆ラブ☆ゲーム
「愛斗!次二年の番だぞ!」



テニスコートから一人の生徒がフェンス越しに愛斗に向かって叫ぶ。



「今行く!」



叫び返すとクルっと私を見た。



「ゴメン柚月、行くね。引き止めといて悪い」



「ううん。いいよ!頑張って!」



「コレ捨てといてもらっていい!?」



そう言うと飲みかけのジュースを手渡してきた。



受け取るとまだ重かった。



「まだいっぱい入ってるじゃん!」



「よかったらあげる!じゃあまたね」



爽やかな笑顔を残して立ち去る愛斗の後姿をしばらく見送る。



あげるって・・・



飲みかけだよ


別に意識する必要ないけど



間接キスってヤツだよ?



愛斗はなんとも思わないんだね。



コート内に戻って練習を始める愛斗。



よく見ると女子の二人組がフェンス越しにキャーキャー言いながらテニス部を見ている。



視線の先はどうやら愛斗みたい。



ふぅん。



やっぱりモテるんだね。



そりゃそーだよ。



あれだけの容姿に性格もいいし



王子様タイプが好きな子にとってはまさにパーフェクト。



どストライクって感じ。



私はしばらく考えた後



少し遠慮がちに愛斗のジュースのストローに口をつけた。



ほんのり甘いレモンの香りが



口いっぱいに広がった。
< 23 / 78 >

この作品をシェア

pagetop