ダブル☆ラブ☆ゲーム
「パンッ!」




パスを回されたボールが人の手に渡る前に誰かがボールを取った。



その姿は紛れも無く真哉だった。



その瞬間に歓声が沸き起こる。



真哉はボールを自分の物にすると
人の間を素早く切り抜け一気にゴールをした。



一瞬何が起こったか分からないくらい早い展開だった。



空気が一瞬止まった気がしたけどすぐに叫び声に包まれた。



「いいぞぉ~新入りぃ~!!」


「カッコイイー!!」



男女の興奮した声の渦の中



真哉はあたし達の方を見て親指を立てた。



まさに『どうだ?』と言わんばかりの態度だ。



そんな真哉を見て愛斗はすごい嬉しそうにしていた。



あたしとは意外な真哉の一面を目の前にしたから



あっけにとられてポカンとしてしまった。



ふと視線をズラすと、いつも真哉に付きまとってる佐伯梨乃が両手を顔の前で合わせ、涙ぐんでるのが見えた。



それからというもの



真哉の大活躍のおかげでどんどん点数に差が開き始めた。



愛斗のクラスのチームは最初みな呆気に取られていたが



だんだんとみんな顔が真剣になり出して、真哉をマークする者が多くなった。



逆にウチのクラスは水を得た魚のように動きが活発になって



真哉にどんどんパスをするようになった。



あたしはもう真哉から目が離せなくなってきた。



いつも教室でふざけてる真哉と違って真剣な顔で試合をしてる姿はすっごくカッコイイって思えてきた。



今ドキドキしてるのはそんな真哉に対してなのか試合に対してなのか分からないけど



確かに胸の鼓動が激しくトクトク言っている。



カッコイイ・・・。



カッコよすぎるよ真哉・・・・!!





試合はそのままぶっちぎりでウチのクラスの勝利。



本当にいい試合を真哉は見せてくれた・・・・・。
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