ダブル☆ラブ☆ゲーム
「マジヤダよねぇ~雨早く梅雨終わんないかな」



借りたコテで器用に巻きながらアオイがつぶやく。



前言撤回



誰よりも梅雨が早く終われと思ってるのは



巻き髪クラブメンバー全員だな。



「だよね。マジ雨ウザイ。てかアオイなんか今日気合入ってない??」



「あ、分かるぅ?今日ダイキとデートなの♪」



ダイキとはアオイの彼氏で



先月付き合ったばっかりの



まだラブラブな相手。



デートの日は濃いメイクが一段と濃くなるから分かりやすい。



しかも香水がお気に入りのディオールから



男ウケするピンクのボトルに入った甘ったるい人気のモテ香水へと変わる。



男の為に自分を変えない私からしてみれば



その努力は感心する。



前回「彼好みなの」と言って髪を短くして巻き髪クラブを脱会したアオイは



フラれた瞬間にソッコー美容院でエク付けてグルグルに巻いてたっけ。



本当おもしろい子だよ。



「ねぇ~柚月はぁ?リュウキ先輩以来男作ってなくない?」



うわっ!



思い出したくもない事を...。



思わず読んでた雑誌を落としそうになっちゃったじゃない。



「うるさいなぁ~。巻き終わったらさっさと教室戻れよ」



話題にされたくない事はとことん避けるタイプ。



そう冷たく言い放す私を見て、アオイはニヤリと笑ってコテの電源をOFFにした。



「じゃぁ男欲しくなったら言ってよ♪ダイキの連れ紹介してもらうよう頼むからさっ!」



「はいはい。ま、ナイと思うけど」



手渡されたコテを受け取りながら興味ないフリてし雑誌へと視線を移した。



アオイは「まったく」って顔して手を振って教室を出た。
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