ダブル☆ラブ☆ゲーム
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二人で飲み始めてしばらくした後



「そういや柚月の前の男ってどんなんだったの?」



真哉が缶を片手に迷いなく聞いてきた。



いきなりヘビーな課題を出してくれるよ真哉くん。



ちょっとギロっと睨んでやった。



「なんだよその顔!あ、もしかして禁句?」



おせーよ!とか思ったけど、ここは普通にスルーさせようと思った。



「もう忘れちゃった」



そう答えてお菓子を摘む。



「そらすなよ。本当は覚えてるんだろ?」



え?なぜか急にまじめな話し方をしてきたからビックリして真哉の顔を見た。



「柚月前にキツイ思いしたの俺知ってっから。引きずってんなら話してみねーか?もしかしたら楽になれるかもよ?」



いつになく真剣な眼差しでそう言う真哉の目から視線を外せなくなってしまった。



真哉に話すの?



リュウキ先輩の子事を?



あぁっ



名前を出すだけで胸がチクンと痛むよ・・・



私が黙って俯いていると



「悪ぃ。話したくなかったら話さなくていい。ただゆづの痛みってか過去を受け止めたかったんだ」



そう言うと真哉は缶を軽く押した。



バコっという音だけが部屋に響き、少しだけ缶がへこんだ。



「別に話したくない訳じゃないけど・・・なんで真哉なんかに?」



「・・・おめっ!」



真哉が殴るマネをしてきたから咄嗟に手で頭をガードしてしまった。



「うっそ!ゴメンって!」



「可愛くねーなー。ここで泣きながら過去の事を話しとけばいいのに」



「やだぁ!何泣きながらって!そんな事してどうすんのよ」



そう笑いながら言うと



「そしたらお前を抱きしめられるチャンスだろ?」



真哉がまっすぐに私を見ながらまじめな顔で言って来た。



一瞬ドキンと胸が高鳴ったが、すぐに慌ててクミを見た。



・・・よかった。寝てる。



今の言葉を聞かれたら誤解されるもんね。



一体なんなの真哉は・・・



何が本気で冗談なのか分からなくなるよ・・・



「またまたぁー」といつもみたいに笑い飛ばそうとしたけど



なんか真哉がまっすぐ私を見ているから何も言えなくなっちゃった。



でもマズイ・・・この雰囲気は。



この雰囲気を打破する為にも私は覚悟を決めた。



「分かった。話すよ。話すからちゃんと付き合ってよね?酒無しでは語れないんだからっ」



私の言葉にふっと真哉の顔に笑みがこぼれる。



ほっ・・・。



私は胸を撫で下ろした。
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