Q上空


俺はいつの間にか

窓を開けていた

とたんに

バスの内部へ
大量の冬の大気

何か内部に 入ってきた 赤い風船だ

ラップファッションの太っちょ野郎が
似合わない素早さで飛んできた

俺は椅子に深々と沈み込んだ

ラップが奇声を発して 掴みかかってきた

俺の頭上には
ラップ野郎の太い
ネックレス

両手でネックレスを掴み
同時に
右の足を垂直に高々と上げた

ラップは
俺の後ろの席に
頭から落ちる

俺は半回転して
掴んでたネックレスを思いきり
引いた

ラップは
笛のような
悲鳴をあげ
暴れたが
すぐに動かなくなった


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