SH-BA-RI
序章
23歳の夏、
家を出た。
何を求め、
何から逃げる為かはわからないが、
当時同棲していた男の車に、
荷物を積み、
置き手紙も何もなく、
そっと消えた。
同棲相手に愛はなかった。
なんとなく一緒にいただけであった。
男は働いていたが、
あたしの生活が贅沢過ぎたのか、
貯金に底が見えてきた。
同棲してたったの3ヶ月経過した頃だった。
この男との出逢いの経過はど-でも良い。
生活荒れ、気持ち向かないあたしに対し、
男は
限界が来た
と怒りを露わにしたことをきっかけに、
あたしは男の家を出た。
お金もない、
家もない
しばらくは、
とある会社社長の家にお邪魔することになったが、
夜毎 カラダを求められ、
それに嫌悪感を感じてはいたが、
家に帰りたくはなく、
我慢の日々だった。
ある日、
社長は、マンションを借りて1人暮らしをしろと言い、
引っ越し代金をくれた。
家出の理由も聞かず、
自立しお金を貯めろと言われた。
地に付いた生活をしなさいと。
あたしは当時、クラブで働いていた。
カラダに響く重低音とライトが、
たまらなくあたしをトリッピーな気分にさし、
音まるごとと一体化し、
あたしの心のヒーリングだった。
しかし、クラブだけでは生活ができない為、
仕事を探さなければならなかった。
何の躊躇もなくあたしは、
遊郭の地へと足を踏み込んだ。
気付けば家出から一年が過ぎた、
24歳の夏だった。