Bitter Chocolate.






車から降りて、診療所の鍵を
開けて中に入ると、思ったより
暖かかった。







「 さっき出たばかりだから
  まだ暖かいね 」







あたしの手を引きながら振り返った
綾川さんはそう言って笑うと
ストーブをつけて、その前にある
待合室のソファに腰を下ろした。







「 麗華ちゃん 」


「 ・・・・はい 」


「 旦那さんのこと、信じてるから
  辛くなって逃げてきたって
  言ってたけど・・・、それは
  逃げた時点で何を表すのか
  分かってるよね? 」







手を離されて、綾川さんの向かい側に
腰を下ろすと、あたしの中にあった
黒い部分を、綾川さんは簡単に暴いた。









< 17 / 36 >

この作品をシェア

pagetop