Bitter Chocolate.
「 聖弥は海に預けてきたから 」
「 ・・・・ん 」
バイクが停められて、
気づけば龍弥の会社の近くにある
大きなホテルのロビーにいた。
嫌がるあたしの腕を引っ張りながら
龍弥はロビーにあるソファに
腰掛けて女の人に、手招きをした。
「 あら、どうしたの? 」
「 さっきはサンキューな 」
「 そんなことを言いに? 」
「 んなわけねーだろ 」
”さっきの”香水の匂いがする。
綺麗な髪を一つに束ねて、
スーツに身を包んだ女の人は
あたしを見て何かを悟ったようだった。