MACHOCO
真知子は二人が去った場所に一人たたずんでいた。
「マジか。」
今の真知子から絞り出せる精一杯の言葉だった。
これまで、数多くの告白に失敗してきたが、いや、まだ両手で数えられる限度の回数だが(意地)、
そのなかでも今回のケースは初めてだ。
何が起こったのか、理解しているのだが、全く理解できない。
ただ今さっき、この地球上で、幸せをつかんだ人が2人と、不幸になった人が1人増えたということは事実だ。
ただ、真知子のモットーは「いつも心広く」だ。
ゆ、許してやろうじゃないか。
「と、とりあえず、今回のはフラれた回数には入らないよね。」
真知子はポジティブシンキングも心がけている。
この恋には見事に玉砕したものの、告白をしていない真知子は直接フラれたわけではない。
そこはきっちり分けていきたいのが真知子である。
とりあえず、ケータイを取出し、真知子の親友である‘のりちゃん’にメールする。
のりちゃんは真知子と大の仲良しの友人だ。
のりちゃんは真知子のすべてを理解している、心の置けない親友的存在だ。
「また、だった。しかし今回は数奇なケース。」
そう送ると、真知子は歩き出した。
スーパーに寄ってたくさんのお酒と食べ物を買って行こう。
今夜はたくさん愚痴を聞いてもらおう。
もちろん、目的地は、のりちゃんちである。