MACHOCO



「しっかりしな、真知子!また、次がね・・・」

「うー、のりちゃん。永遠に次しかない気がするよ。」

「そんな気を落とさないで。ね?」

「いいね、のりちゃんは、素敵な彼氏さんがいて。」


そう、のりちゃんにはとても素敵な彼氏さん(たけしくん)がいる。

いわゆる幼馴染というやつだ。

正直、のりちゃんの見た目はまあまあだ。

友達としてその言い方はひどいのではないかと言われそうだが、

真知子は、上手く嘘がつけないのでそこは許してもらいたい。

真知子は嘘をつくと、後で面倒になったことしかない、正直なやつなのだ。

そして、たけしくんの見た目もまあまあだ。

真知子は、上手く嘘がつけないのでそこは以下省略する。

そして、まあまあな二人は、まるで運命のようにくっついてとても幸せそうなオーラを出しまくっている。

まあまあにして、いわゆる勝ち組なのである。


小さいころから親の仕事で転勤を繰り返していた真知子一家は、最近やっと一軒家を購入。

よって恋愛小説でよく使われる、とっても便利で甘美な響きの「幼馴染」という切り札は、真知子には存在しない。

真知子は近いという理由で受験した大学で、これまた近いという理由で同じ大学を受験したのりちゃんと意気投合した。

ちなみにもちろんだが、のりちゃんの彼氏、たけしくんも同じ大学である。

のりちゃんにはこれまでのこともすべて話し、失恋したときはこうやって慰めてもらっている。

そして、愚痴をこぼしていたはずの真知子だったが、


「そうなの、たけしくんたらね・・・」


のりちゃんからのこの言葉を聞いて、しまったと思った。


のりちゃんはとても良い友達、真知子にとってはもったいないくらいの申し分ない友達なのだが、

たけしくんのことを話し出したら、のろけ話が止まらない。

しかも今回の真知子の失恋あいての‘たかしくん’と一文字違いなので、

心なしか、真知子の繊細なハートにズブズブと刺さる感じがある。

しかし、ここは「いつも心を広く」をモットーにしている真知子。

朝まで、のりちゃんののろけ話を聞こうと心に決めた。



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