406号室と405号室の2人。
「つぐみ帰れ」
「えー、まだいーじゃん。前読んだ漫画の続きみしてよ」
「…今度な。だからもう帰れ」
「…隆之介?」
「帰ってくれ。色々考えたいことある」
「りゅう?」
つぐみは時々俺のことを“りゅう”と呼ぶ。
その“りゅう”が何気に俺は気に入っていた。
でも今は聞きたくない。
「悪ぃ、帰れ」
「…分かった」
いつもはつぐみを玄関まで見送る。
けど今日は
ガチャ
「…じゃあ、りゅうまた明日ね」
バタン
見送ることもできなかった。