406号室と405号室の2人。






「つぐみ何してるの?」



「うーん…ちょっとね、隆之介待ってるの」



この一言を言えば、みんな納得する。




「なんで門?」



「別に待ち合わせしてる訳でもないから、隆之介が先に帰らないようにかな」



「あー、そっか。じゃあ、気をつけてね。バイバイ」



「うん、またね!」




1人ポツンと校門に立つ。


そういえば、こうやって隆之介を待ったことってないな…____。



2人で帰る時はいつも、家隆之介が庭科室まで迎えに来てくれた。

それが当たり前だと思っていた。



今考えてみれば、あたしいつも隆之介にしてもらってばっかりだったな……。




「あ、ヨシじゃん」



「田部…」



後ろを振り向けば田部と隆之介が校門を出る直後だ。




「何してんだよ?」



「ちょっとね、」



ふと、田部の隣にいる隆之介を見れば、隆之介はどこか遠くを見ていて目が合わない。


いつもなら、田部じゃなくて隆之介が話しかけてくれて目を見て話すのに…。



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