406号室と405号室の2人。
「あ、あの隆之介」
「…なに」
隆之介はこっちを見てくれない。
「これ…部活でチーズケーキ作ったからあげる」
鞄からチーズケーキを取り出し、隆之介の目の前に差し出した。
そして、“ごめんね”と言おうとした瞬間、
「…いらね。誠、行くぞ」
初めて拒絶された。
「は?いや、おい、ちょ、隆之介っ」
慌てる田部を置いて、先先と帰る隆之介。
「よ、ヨシ!今日隆之介なんだか可笑しいんだよ!だ、だから気にするなよ。じゃあ!」
田部は慌てた様子で走って隆之介を追いかけて行った。
隆之介に拒否られたあたしはというと、ただポツンと門の前で立っていることしかできなかった。
こっちを1度も見ることなく、帰って行った隆之介。
なんであんな態度されないといけないの?