406号室と405号室の2人。
つぐみは誠や他の奴には見せない笑顔を俺に向けてくれる。
でも、それは家族みたいな信頼からでる笑顔で決して特別な異性に向けている訳ではない。
「きっとあいつからしたら俺や清なんて同じ位置なんだよ」
あまり会わない従兄弟も毎日会う幼なじみもどーせ立場は一緒の《家族》。
“隆之介っ”
「時々あの笑顔が辛い…」
「なぁ、隆之介」
「…なんだよ」
「まず、清って誰だ?」
「……ハァ」
誠のマヌケな表情をみると力が抜ける。
「清はつぐみの従兄弟…今度からつぐみの家に住む野郎だ」
「…そいつはガキなの?」
「俺らと同級生だ」
「それ、ヨシはなんて言ってたの?」
「…何も。嫌がることもしなかったし、嬉しそうでもなかった」
「……」
(思春期の女ならそこは嫌がるんじゃねーの?)
「つぐみにとって俺と清も一緒なんだよ」
「……」