406号室と405号室の2人。




「ほっぺ痛い…」



「それよりさ、つぐみちゃん…」



「それよりって失礼だな。痛かったのに」



「はい、見て待ち受け」



携帯の画面をつぐみに見せる。



「りゅうくん…この時計合ってる?」



「うん…合ってる」



ただ今の時刻8時32分。

SHRは8時25分。



もう、遅刻決定だなこれ。




「つぐみ、もうゆっくり歩いて行こうぜ」



「そうだね。どーせ遅刻だし」



2人顔を合わせて笑うとまた手を繋いで今度はゆっくり歩き出した。





「そういやー、誠に礼言わねーとな」



「なんで田部?」



「あいつが何気に背中を押してくれたから」




“さっさと告って今の生温い関係から脱出しろよ”


あの言葉は響いたな…。

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