ギャルバン!!! 2nd The Re:Bandz!!!!
アタシが父親に連絡している間に、彼女はタクシーを捕まえて待っていた。





「小塚さんは、お一人なんですか?」





父親に、小塚マリコと一緒だと伝えると、ただ一言、そうか、と言うだけだった。





「今はね。大昔に離婚したから。それからはずっと一人」





サクリファイスの大ファンの父親らしくない返事だとアタシは思った。





「でもね、寂しくはなかったかな。よく言う仕事が恋人ってヤツ? サクリファイスを解散してからはずっと仕事に集中していられたから」





サクリファイスのことを教えてくれたのも父親だし、小塚マリコが校長の専門学校を選んだのも父親なのに。





「―――どうして、解散したんですか? メジャーデビューした後だったんですよね?」





「………よく知ってるわね。大昔なのに」





「父がサクリファイスの大ファンなんです。だから専門も小塚さんが校長の学校を条件に出してきたんです」





「………そうだったのね。お父様は、元気? 今は何されているの?」





「父は町のカメラ屋さんです。私が産まれた頃からずっと」





「―――お母様は?」





「アタシが産まれてすぐに家を出ていったらしいです。なので、よくわかりません」





母親がいないことにはもう慣れていた。





父親は再婚もせず、アタシにだけ真っ直ぐ向き合ってくれた。





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