ギャルバン!!!　2nd　The Re:Bandz!!!!
「エルさん―――」





何があったんですか？





どうしたんですか？





大丈夫ですか？





そんなありきたりな言葉しか思い浮かばず、そんな陳腐な言葉をかけることすら躊躇(ためら)われて、





私は震えるその背中に歩み寄り、そっとなでてあげるしかできなかった。





「私、エルさんのこと大好きです。何があってもエルさんの味方ですから」





かすかに空気が漏れる音がして、エルさんは上半身を起こした。





涙を我慢しながらエルさんは何か言おうと口を動かしたけれど、その言葉は声にならなかった。





「エルさん、どうしたんですか？」





声をしぼり出すようにエルさんは息を吐いたのに、どれも私には言葉として聞こえなかった。





「もしかして、声が出ないんですか………？」





私を見つめるエルさんが、唇を噛みしめながらぽろぽろと涙をこぼした。





声を出せない代わりに、強く強く私の両腕をつかんでいた。





こんなエルさんを、私は初めて見た。





「エルさん―――」





けれど、これほどまでに弱々しいエルさんを見ていられなくて、私は彼女を抱きしめた。



< 138 / 187 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop