ギャルバン!!! 2nd The Re:Bandz!!!!
ネオミィからのオファーにちゃんとした答えを出せないまま、ウチはこの数日を久しぶりに大学で過ごしていた。
少しだけ夜の空気が肌寒く感じられるようになった10月最初の水曜日、リンナのソロデビューシングルが発売された。
それは冬を意識したミドルバラードで、リンナの声を最大限に活かすメロディだった。
そのプロモーションが発売の前からされているのは知っていたし、リンナからも報告されていた。
事務所やレーベルの考えでは冬までの長いスパンで売り上げを期待していたんだろう。
けれど、その算段は脆(もろ)くも崩れ去った。
次の金曜日に発売された週刊誌に到底信じがたい内容の記事が掲載された。
「祥雲リンナ、アンブレ所属事務所脱税疑惑! 枕営業! 黒い影!」
大学へ向かう電車の中吊り広告にはそんな見出しが並んでいた。
きっと大袈裟(おおげさ)な見出しで煽っておいて内容は大したことがない。
そんな類(たぐい)だと思っていた。
しかし、途中下車してコンビニで買った週刊誌はこの記事についての取材を一年近くしていたようで、どの話も憶測だけで話をでっち上げたわけではなさそうだった。
よくある芸能関係のスキャンダルだと、いつもなら気にも留めなかっただろう。
ただ、そうすることはできなかった。
じっとなんかしていられなくて、ウチはとにかく走り出した。
朝のラッシュの波に逆らいながら、自分は何をしたいのかと、ホームで電車を待ちながら、自分は何がしてあげられるのかと、考えながら。
少しだけ夜の空気が肌寒く感じられるようになった10月最初の水曜日、リンナのソロデビューシングルが発売された。
それは冬を意識したミドルバラードで、リンナの声を最大限に活かすメロディだった。
そのプロモーションが発売の前からされているのは知っていたし、リンナからも報告されていた。
事務所やレーベルの考えでは冬までの長いスパンで売り上げを期待していたんだろう。
けれど、その算段は脆(もろ)くも崩れ去った。
次の金曜日に発売された週刊誌に到底信じがたい内容の記事が掲載された。
「祥雲リンナ、アンブレ所属事務所脱税疑惑! 枕営業! 黒い影!」
大学へ向かう電車の中吊り広告にはそんな見出しが並んでいた。
きっと大袈裟(おおげさ)な見出しで煽っておいて内容は大したことがない。
そんな類(たぐい)だと思っていた。
しかし、途中下車してコンビニで買った週刊誌はこの記事についての取材を一年近くしていたようで、どの話も憶測だけで話をでっち上げたわけではなさそうだった。
よくある芸能関係のスキャンダルだと、いつもなら気にも留めなかっただろう。
ただ、そうすることはできなかった。
じっとなんかしていられなくて、ウチはとにかく走り出した。
朝のラッシュの波に逆らいながら、自分は何をしたいのかと、ホームで電車を待ちながら、自分は何がしてあげられるのかと、考えながら。