ギャルバン!!! 2nd The Re:Bandz!!!!
「前に担当していた子の時にもあったんです。



その子は歌手だったんですけど、今まで取り引きのなかった会社のヒトから急に打ち合わせも兼ねての食事のお誘いがあって、しかもマネージャーは抜きという条件で。



そこで止めてあげればよかったのに、私、何もできなくて。



その後、彼女は何日かふさぎ込んでたんですが、その会社のCMが突然決まったんです。



オーディションも何もなしでした。おかしい思ったんです。



でも先輩に聞いたらそんなことはないって。



コネ入社の私が仕事を取ってこないから社長が仕事を取ってきてくれたんだって言われてしまって」





「タイアップで、曲をリリースしたんですが、その後は泣かず飛ばずで、また仕事がなくなってしまった彼女はまた部屋に引きこもってしまったんです。薄々は気付いていました。



その子は枕営業で仕事を得たこと。



こんなことをしたのに私にはスポットライトすら当たらないって電話で泣いていました。



それでも彼女はがんばるしかなかったんです。



身よりもない彼女が生きていくためには歌しかなかった。



それから二つ枕営業がありました。



ライブハウスで歌わせてもらうとやっと固定のお客さんが数人ついてくれるようになったんです。



ただほとんどがアイドルオタクのみなさんでその子のビジュアルも込みで応援してくださっていたのですが、彼女はやっぱり歌手である自分を好きになってほしいと。



また引きこもるようになってオーディションにも現れなくなって、連絡が取れなくなって、部屋に行ったんです。



そしたら彼女、死んでました。自殺したんです。



その前の日も電話で話して、小さくても目立たなくても一つ一つ仕事をやっていくって言ってくれたのに」





「彼女、両親いないんです。親戚もほとんどが音信不通の状態で、ずっと孤独だったんです。



ギターが、彼女の大切なギターが壊れてました。



彼女と最期に話したのは私なんです。



私が彼女を追い込んで、壊してしまった―――」





「何度も泣いてしまってごめんなさい。



彼女を火葬して私、どうすれば彼女の気持ちが安らかになるか考えたんです。



私が一流のマネージャーになって一流のアーティストを育てることしかないと思ったんです。



彼女の遺骨、私の部屋にあるんです。



毎日仕事が上手くいくよう拝んでます。



でもリークしたから罰が当たったんでしょうね。



だけど、リンナさんに枕営業なんてさせられませんよ。



リンナさんの実力は本物なんです。



今のリンナのポジションはリンナ自身の実力で勝ち取ったモノ。



リンナさんはほんとうのスターなんだと思っています」



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