ギャルバン!!! 2nd The Re:Bandz!!!!
マコモちゃんの電話が終わってまたテレビを点けると、ワイドショーが朝の情報番組よりも過剰なまでの報道をしていた。





脱税疑惑から始まり枕営業、事務所の闇取引、中国系マフィアとのつながり。





どれもドラマや映画の中でしか見ないような出来事で信じられなかった。





唯一現実味があったのはアンブレの元メンバーについてのうわさだった。





あくまでうわさで確かな情報ではなさそうだったけど。





「よくもまあこんなに」





レポーターが大きなボードを使って熱心に事務所が悪徳事務所だったかを説明している。





一方的な方向性を植え付けられてしまってはもう事務所に再起の機会すらないだろう。





マコモちゃんと約束をしたからには、ワタシもあの事務所にはいられない。





辛うじて所属タレントは被害者であるという流れになっている。





ワタシやアンブレのメンバー、まだ売れてはないけれど売れていくことを夢見ていた他のタレント。





「あれ………? いない………」





その中であのヒトの名前がなかった。





思い出したように鳴り響くケータイがそのヒトの名前を表示させていた。





「ハロー、リンナ。引きこもり楽しんでる?」





「お久しぶりです。―――ネオミィさん」





今月から彼女は個人事務所を立ち上げて独立していた。





「おかげさまで最悪です。マンションの前とかあり得ないですよ」





「らしいね。テレビ見てるよ」





「ネオミィさん。もしかしてこうなること知ってたりしないですよね? だから独立したんですか?」





「偶然に決まってるじゃない。それに知ってたらリンナだけでもたすけてあげるわよ」





「そう、ですよね。ごめんなさい。言い過ぎました」





「いいよいいよ。だけど、そろそろたすけが必要だと思って王子様を派遣したから」





「王子様?」





「そっ。お・う・じ・さ・ま」





玄関で呼び鈴が鳴る。





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