ギャルバン!!! 2nd The Re:Bandz!!!!
その会場は異様な静けさを放っていた。





司会者のアラフォーフリーアナウンサー、甘津谷ヨリさんがアタシ達のレーベル『ギャルバン!!!』の企画意図を説明していく。





壇上では小塚マリコと仲川ユキコ、アタシ達四人とラッドナクスが並んでいた。





「それでは記者のみなさんからの質問を受け付けたいと思います」





真っ先に手が挙がったのはギャルヒー編集部だった。





「はい。ではどうぞ」





「黒崎書店ギャルヒー編集部、三田山です。二組ともにうかがいたいのですが、今回のレーベル設立のついて今後どのようにバンドの将来を展開していきたいと考えていらっしゃいますか? お答えお願いいたします」





「はい。ではラッドナクスのリーダー、ハルカさん。どうぞ」






「わかりました。ラッドナクス、リーダーのハルカです。私達ラッドナクスは夏の間、全米ツアーをしてきました。全く知らない場所で私達のことを知らない人達に私達の音楽で盛り上がってもらえることに手応えを感じました。今後はライブ活動を中心に日本だけではなく、韓国や中国、世界各地を飛び回れるようなアーティストになりたいです」





「はい、ありがとうございました。続いてはラズルダズルリリーのリーダー、エルさん。どうぞ」





まだ、声の調子は完全ではなかった。





それでも今日はアタシが話さなくてはいけないと思っていた。





「はい。ラズルダズルリリー、リーダーの相倉エルです」





アタシが少しかすれた声で言うと、隣に立っていたリンナがそっと背中を押してくれた。





「アタシ達はハルカさん達、ラッドナクスのようなライブでの実績はありません。高校の時のバンドを再結成したばかりの経験の浅いバンドです」





フラッシュがいくつかアタシ達を照らしていた。





「―――ですが、個々のスキルはラッドナクスにも負けないくらいのモノを持っていると思っています」





声が出なくなった原因を小塚マリコの紹介で受診したハーフ顔の精神科医は『壁』だと言った。





「ボーカルのリンナ、ベースのカエデ、ドラムのミク。音楽を語るのはまだウチらには早いのかもしれません。それでも―――」





アタシには、アタシ達にはまだ超えなければならない『壁』がいくつもある。





「アタシ達が最強だってことを証明します」





それを今、超えていく。







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