ギャルバン!!! 2nd The Re:Bandz!!!!
そんな思いが少しずつ折り重なっていった二日後の金曜日、予告もなしに想定通りの記事が週刊誌に掲載された。
どうやらあの記者はアタシ達のことをどうやってもお祝いしたいようだった。
けれど、アタシは冷静を保てなかった。
『リンナ所属、親の七光りバンド!!! デビュー!!!』
そんなことは予想されたことだし、リンナの歌を聞けば誰もそんなこと思わない。
ただ―――
「エル、これどういうこと………?」
カエデはテレビを見ながら言ったけど、それはアタシ自身が聞きたかった。
「週刊誌の記事をもとに、こちらのボードで詳しく説明いたします。今回、ネット配信限定でデビューした二組のうち、モデルの祥雲リンナさんがバンドとしてデビューすることで話題になったラズルダズルリリーなんですが、リンナさんはご存じの方も少なくないと思います。18年前にメジャーデビューしてすぐに解散してしまった伝説のバンド、サクリファイスのボーカル、祥雲陸さんの娘さんなんです」
バンド時代の陸さんの写真が映っていた。
その隣にはとてもよく似たリンナの写真がある。
そしてプロデューサーの小塚マリコの写真の隣をめくると、現れたのはアタシだった。
その関係性は―――
「さらには、サクリファイスのメンバーだった、プロデューサーの小塚マリコさんとラズルダズルリリーのリーダー、相倉エルさんも親子だったことが今回明らかになったんです」
親子。
母と娘。
家を出たオンナと残されたコドモ。
「………エル。大丈夫?」
リンナがぼう然としているアタシの視界に入ってくる。
「リンナ、どうしよう。アタシ、小塚さんの娘だって………」
テレビではそのあともアタシと小塚マリコが親子だという説明を続けている。
「エルさん! 小塚さんからお電話です!」
そう言われ渡されたミクのケータイからは、
「もしもし? エル―――?」
優しい響きを残した声が聞こえる。
「………はい。小塚さん―――」
少しだけ、沈黙があった。
「今回の記事と報道に関してはこちらから早急に手を打ちます。18年も前のこと持ち出してくるなんて想定してなかったわ。アナタ達のところにもメディアが行くかもしれないから―――」
「そんなことが聞きたいんじゃない!」
かすれた声で叫んだアタシを見ているアタシ。
専門に入学して初めて小塚マリコを見てから、今日まであのヒトと話したことを思い出していた。
バンドコンテストの時、ギターをもらったあの日、リンナを連れ出したあとの会議室。
いつも強くアタシの前に立ちはだかり、優しくアタシを見守っていた。
「………アタシは、アナタのコドモなんですか?」
テレビの中では18年前のサクリファイスが演奏していた。
「―――そうよ。アナタは、私の娘。相倉さんと私の、コドモ………」
すうっと世界から音が消えた。
電話の声すら耳に入らず、アタシの心が閉じた。
どうやらあの記者はアタシ達のことをどうやってもお祝いしたいようだった。
けれど、アタシは冷静を保てなかった。
『リンナ所属、親の七光りバンド!!! デビュー!!!』
そんなことは予想されたことだし、リンナの歌を聞けば誰もそんなこと思わない。
ただ―――
「エル、これどういうこと………?」
カエデはテレビを見ながら言ったけど、それはアタシ自身が聞きたかった。
「週刊誌の記事をもとに、こちらのボードで詳しく説明いたします。今回、ネット配信限定でデビューした二組のうち、モデルの祥雲リンナさんがバンドとしてデビューすることで話題になったラズルダズルリリーなんですが、リンナさんはご存じの方も少なくないと思います。18年前にメジャーデビューしてすぐに解散してしまった伝説のバンド、サクリファイスのボーカル、祥雲陸さんの娘さんなんです」
バンド時代の陸さんの写真が映っていた。
その隣にはとてもよく似たリンナの写真がある。
そしてプロデューサーの小塚マリコの写真の隣をめくると、現れたのはアタシだった。
その関係性は―――
「さらには、サクリファイスのメンバーだった、プロデューサーの小塚マリコさんとラズルダズルリリーのリーダー、相倉エルさんも親子だったことが今回明らかになったんです」
親子。
母と娘。
家を出たオンナと残されたコドモ。
「………エル。大丈夫?」
リンナがぼう然としているアタシの視界に入ってくる。
「リンナ、どうしよう。アタシ、小塚さんの娘だって………」
テレビではそのあともアタシと小塚マリコが親子だという説明を続けている。
「エルさん! 小塚さんからお電話です!」
そう言われ渡されたミクのケータイからは、
「もしもし? エル―――?」
優しい響きを残した声が聞こえる。
「………はい。小塚さん―――」
少しだけ、沈黙があった。
「今回の記事と報道に関してはこちらから早急に手を打ちます。18年も前のこと持ち出してくるなんて想定してなかったわ。アナタ達のところにもメディアが行くかもしれないから―――」
「そんなことが聞きたいんじゃない!」
かすれた声で叫んだアタシを見ているアタシ。
専門に入学して初めて小塚マリコを見てから、今日まであのヒトと話したことを思い出していた。
バンドコンテストの時、ギターをもらったあの日、リンナを連れ出したあとの会議室。
いつも強くアタシの前に立ちはだかり、優しくアタシを見守っていた。
「………アタシは、アナタのコドモなんですか?」
テレビの中では18年前のサクリファイスが演奏していた。
「―――そうよ。アナタは、私の娘。相倉さんと私の、コドモ………」
すうっと世界から音が消えた。
電話の声すら耳に入らず、アタシの心が閉じた。