ギャルバン!!! 2nd The Re:Bandz!!!!
15. Fly me to the HEAVEN.
15. Fly me to the HEAVEN.






 リンナは、言った。





「そうなんじゃないかって思ったのは会議室で話した時。小塚さんの声と目が、誰かに似てるって思った。それが、一番近くにいるエルだった」





アタシが小塚マリコの娘だと世間でニュースになってから週が変わった月曜日。





アタシはカエデのマンションにひきこもっていた。





専門学校に登校したハルカさんからはテレビのカメラが学校の前にいたとメールが来た。





テレビは金曜日のワイドショーからずっと見ていない。





ただ、カエデが買ってきた問題の週刊誌によるとレーベルかレコード会社の中にいろいろとリークした人物がいるらしい。





カエデについては、中学の頃にお兄さんが事故死をしたことと現在の医学部の学生であること、週末はネオミィと一緒にクラブでDJをしていることが書かれていた。





兄の夢である医者を目指してと、読者の興味を誘う書き方だった。





次はミクだった。





正直、流産の一件が載っているのではないかと心配していた。




けれど、あのことはアタシ達四人とご家族だけが知っていることで誰にも話したこともないし話すことは一生ない。





ミクに関しては大学での様子が書かれているだけで記事が少なくて安心した。





リンナのことは、母親の陸さんとの共通点や似ているところを事細かに調べていた。





リンナと陸さんの顔や声の使い方や仕草。





それらを知るとやはり二人は親子なんだと理解できた。





そして、アタシだ。





実家の写真と一緒に小さく載せられていた父親の写真はまだアタシが産まれる前の写真でとても若かった。





小塚マリコとはMV撮影の時に知り合い、意気投合したと書かれていた。





その頃の小塚マリコの写真はライブ中の物とジャケット写真のみで今よりも当然若く、アタシに似ているところもあった。





たとえば、目の形。





メイクをしなければキツいだけの印象を受ける目。




サクリファイスの解散後しばらく、記事によると三年ほどだったが、表舞台から姿を消していた。





その間に産まれたのが、アタシだ。





そして、小塚マリコとしての初プロデュースしてヒットさせたのが、同じバンドのメンバーだったナリタサヤカ。





そこからは多くの大衆に名プロデューサーとして知られることとなった。





その後の活躍は目覚ましく、プロデューサー業だけでなく奉仕活動や教育事業にも手を広げ、今はプロデューサー業の傍ら、音楽業界に強い専門学校を経営し、その学校の校長に就任している。





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