ギャルバン!!! 2nd The Re:Bandz!!!!
正面にあるカメラの赤いランプが光る。
あれが光っているカメラが今、映っているカメラだとリンナが教えてくれた。
「はい。ではここからは本日のゲスト、元サクリファイスのギタリスト、現TME、プロデューサーである小塚マリコさんと、所属アーティストのラズルダズルリリー、相倉エルさん、祥雲リンナさん、ミクさん、カエデさんの四人にお越しいただきました」
笑顔と拍手で迎えてくれたのはイベントでもお世話になったフリーアナウンサーの甘津谷ヨリさんがメインキャスターのワイドショーだった。
「まずみなさんには午前に行われた記者会見の模様をご覧いただきます」
赤いランプが消えるとスタッフ達は慌ただしく動き出す。
ナレーション付きの映像が目の前のモニタに映し出された。
今回の一件を解説し、午前中の記者会見の映像に変わる。
ほとんどが小塚マリコのコメントが流されるのみでアタシとリンナは見切れているくらいだった。
「はい。ということで午前に行われた記者会見の模様をご覧いただきました」
スタッフのキューに合わせて終了した映像から切り替わり映し出された甘津谷ヨリは歯切れのいいトークを展開させる。
「小塚さん、先週の週刊誌の記事を受けてこの会見だったわけですが。お隣のエルさんと親子であると公表する形になりました。率直にいかがですか?」
甘津谷ヨリの魅力は相手のことを気遣いながらも真っ直ぐな質問をしてくるところだ。
視聴者の知りたいことを突いてくる。
「今まで娘のエルには名乗り出ることもなく、その成長を影ながら見てきました。今回のことがなければ私は名乗り出ないままでいたかもしれません。そのことではこうして親子だと言い出せる機会を与えていただいて感謝しております」
予想外のコメントだった。
今まで記事になったことに関しては何も言わなかった彼女がそんな風に思っているなんて。
「たしかに言い出すのはなかなかの勇気のいることですものね。エルさんはいかがですか? 突然、母親だと言われてしまって、それまでの小塚さんに対する気持ちとはやはり違うモノになりました?」
「そうですね。ほんとうに突然のことだったので正直、今でも戸惑ってしまうところもあります。ただ、小塚さんに対する気持ちは変わりません」
「というと?」
「サクリファイスの小塚マリコさんも、母親の小塚マリコさんもアタシにとっては乗り越えるべき『壁』ですから」
「壁、ですか?」
「はい。サクリファイスの小塚マリコさんはアタシにロックの楽しさ、面白さを教えてくれました。今こうしてバンドを組んでその大きさが改めて身にしみてます」
「そうですね。大きい壁ですものね」
「母親としては、アタシを産んでくれたことにはもちろん感謝してますし、何より、逃げずにアタシと向き合ってくれたことに感謝してます。今回の件は全て否定することもできたはずです。ですが母は、そんなことをせずに母親として話してくれました」
モニタ越しに小塚マリコと視線がぶつかる。
「母の偉大さをアタシは初めて知りました。―――母であり、アタシの尊敬する存在である小塚マリコさんのことをアタシは誇りに思っています」
隣にすわる小塚マリコが微笑みながらアタシを見つめていた。
あれが光っているカメラが今、映っているカメラだとリンナが教えてくれた。
「はい。ではここからは本日のゲスト、元サクリファイスのギタリスト、現TME、プロデューサーである小塚マリコさんと、所属アーティストのラズルダズルリリー、相倉エルさん、祥雲リンナさん、ミクさん、カエデさんの四人にお越しいただきました」
笑顔と拍手で迎えてくれたのはイベントでもお世話になったフリーアナウンサーの甘津谷ヨリさんがメインキャスターのワイドショーだった。
「まずみなさんには午前に行われた記者会見の模様をご覧いただきます」
赤いランプが消えるとスタッフ達は慌ただしく動き出す。
ナレーション付きの映像が目の前のモニタに映し出された。
今回の一件を解説し、午前中の記者会見の映像に変わる。
ほとんどが小塚マリコのコメントが流されるのみでアタシとリンナは見切れているくらいだった。
「はい。ということで午前に行われた記者会見の模様をご覧いただきました」
スタッフのキューに合わせて終了した映像から切り替わり映し出された甘津谷ヨリは歯切れのいいトークを展開させる。
「小塚さん、先週の週刊誌の記事を受けてこの会見だったわけですが。お隣のエルさんと親子であると公表する形になりました。率直にいかがですか?」
甘津谷ヨリの魅力は相手のことを気遣いながらも真っ直ぐな質問をしてくるところだ。
視聴者の知りたいことを突いてくる。
「今まで娘のエルには名乗り出ることもなく、その成長を影ながら見てきました。今回のことがなければ私は名乗り出ないままでいたかもしれません。そのことではこうして親子だと言い出せる機会を与えていただいて感謝しております」
予想外のコメントだった。
今まで記事になったことに関しては何も言わなかった彼女がそんな風に思っているなんて。
「たしかに言い出すのはなかなかの勇気のいることですものね。エルさんはいかがですか? 突然、母親だと言われてしまって、それまでの小塚さんに対する気持ちとはやはり違うモノになりました?」
「そうですね。ほんとうに突然のことだったので正直、今でも戸惑ってしまうところもあります。ただ、小塚さんに対する気持ちは変わりません」
「というと?」
「サクリファイスの小塚マリコさんも、母親の小塚マリコさんもアタシにとっては乗り越えるべき『壁』ですから」
「壁、ですか?」
「はい。サクリファイスの小塚マリコさんはアタシにロックの楽しさ、面白さを教えてくれました。今こうしてバンドを組んでその大きさが改めて身にしみてます」
「そうですね。大きい壁ですものね」
「母親としては、アタシを産んでくれたことにはもちろん感謝してますし、何より、逃げずにアタシと向き合ってくれたことに感謝してます。今回の件は全て否定することもできたはずです。ですが母は、そんなことをせずに母親として話してくれました」
モニタ越しに小塚マリコと視線がぶつかる。
「母の偉大さをアタシは初めて知りました。―――母であり、アタシの尊敬する存在である小塚マリコさんのことをアタシは誇りに思っています」
隣にすわる小塚マリコが微笑みながらアタシを見つめていた。