ギャルバン!!! 2nd The Re:Bandz!!!!
ゆっくりとスタジオの照明が落とされる。





カメラの向こう側ではスタッフが慌ただしく動いていた。





その向こう側に小塚マリコと甘津谷ヨリがいた。





今日披露するのは、サクリファイスの曲でリンナがカバーした『Heavenly Seventeen』とアタシ達のアルバムからの『Fly me to the HEAVEN』の二曲。





誰にも言えなかったけれど、今までにないくらいアタシは緊張していた。





「CM明け、30秒前です!」





スタッフの声すら届くのがやっとだった。





「エル」





そんなアタシの耳に真っ直ぐに聞こえる澄んだ声。





「リンナ。アタシ、ヤバいかも」





後ろにいるミクとカエデには聞かせられない弱音だった。





「ワタシがフォローする。任せなよ。ほら!」





言い終わるタイミングでリンナがアタシのミニスカートをめくる。





「ちょっ! リンナ! 何すんだよ!」





「いいじゃん。下にショーパン、はいてんだから。見えても気にしないでオッケーじゃん」





慌てて押さえたアタシを見てリンナは笑っていた。





「CM開け、5秒前! 4! 3!」





リンナのこの余裕が今はムカつくくらいにうれしい。





「エル、行くよ」





「オッケー。やるよ」





カメラに赤い光が灯る。





アタシとリンナにスポットライトが当たる。





二人のギターが切ないイントロを響かせる。





「何も怖がることはないのさ」





この『Heavenly Seventeen』をリンナと歌うのは初めてだった。





「僕らが生まれ出会うことは必然」





小さい頃から聞いていたこの曲。





「だからあの時、別れてしまったのも逃れられないリアル」





リンナにとっても大事な曲。





「それでも僕らはこうしてもう一度出会った」





だから、その歌詞をかみしめるように、アイコンタクトをしながら交互に歌う。





『だからもう一度始めよう。僕らのHeavenly Seventeen days』





そして、アタシ達の歌声が切ないハーモニーを作り出す。






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