ギャルバン!!! 2nd The Re:Bandz!!!!
アタシ達のバンドのイメージは何だろう。
今回のプロモーションを担当してくれた元サクリファイスのドラムでプロデューサーの、仲川ユキコはアタシ達のことを『元気いっぱいのガールズバンド』だと言っていた。
ハルカさん達ラッドナクスはエッジのきいた音も切ないバラードも幅広くこなす。
アタシ達の売りって何だろうか。
今更そんなことを考えながら、大した睡眠も取れないままアタシ達は会場入りした。
朝から会場の設営を続けるスタッフに挨拶をしてアタシ達は楽屋に入った。
「リハは30分後の15時から、本番は18時。予定が変わってラッドナクスさんが先にライブを行うことになったそうです」
マコモちゃんが変更のあったばかりの予定表を見ている。
「じゃあリハもラッドナクスが先なんだよね。マシュリさん達には少し待ってもらうことになりそうかな」
今日もヘアメイクはリンナの知り合いのマシュリさんとリエちゃんに担当してもらうことになっていた。
「そうですね。私から連絡しておきます。でもラッドナクスさんも担当されるそうなので時間的にはギリギリかと」
「そうなんだ。だったらワタシ達のリハが押さない限り大丈夫かな」
リンナはいつものようにマコモちゃんと話していた。
「ねぇ、エル。今日やる曲の中に新曲入れていいか小塚さんに聞いた?」
その余裕がうらやましいくらいに、アタシ達三人は緊張して何もしゃべれなかった。
「まだ。………リハの時に聞いてみるけど、そんな余裕ないかも」
「だったらワタシが聞こうか? ていうか、三人とも緊張しすぎでウケる」
リンナはそう言ってニヤニヤと笑っていた。
「………リンナのその余裕マジでムカつく。ミク、カエデ、やるよ!」
アタシは手の震えを隠しながら二人を立たせた。
「よしっ、来い!」
そして三人でお互いに背中をたたいて気合いを入れた。
「おーしゃっ! リンナもやるよ!」
「えー、本番まだだよ?」
「本番は本番でまたやるんだよ。行くぞ!」
「えー!?」
そんなやりとりを何回も繰り返しながら、リハを緊張以外の問題なくこなし、何度も背中をたたき合うのをマシュリさんとリエちゃんに笑われながら、アタシ達は本番を迎えた。
「ラッドナクス~! う~! にゃ~!」
ハルカさん達がリカのかけ声で右手を高く挙げて円陣を組んでいる。
それを見ていたアタシ達にハルカさんが気づいた。
「ラズルも来い! やるよ!」
アタシ達は瞬間、緊張を忘れて顔を見合わせた。
そしてすぐにアタシは理解できた。
「はい! 行くよみんな!」
アタシ達とハルカさん達、8人が円陣を組む。
「みんな、私から一つだけ言わせて。私らみんなロックが大好きな仲間だ。何があってもライブを楽しめなきゃ意味がない。だから、楽しめ」
ハルカさんの笑顔がアタシ達全員の心の緊張を溶かしていく。
「ラッドナクス! ラズルダズルリリー! 合同ファーストライブ! 行くぞー!」
「う~! にゃ~!」
みんなで叫んで手を高く伸ばした。
その先の人差し指がみんなで触れ合うと何だか、おかしなテンションになって8人で背中をたたき合った。
もう背中は真っ赤になって熱を持っている。
アタシ達はラッドナクスをハイタッチでステージに送り出す。
舞台袖から見る彼女達のステージは圧巻だった。
リカの力強く激しいのに繊細なドラム、トモコの正確でみんなを引っ張っていくベース、マユコのギターテクはアタシの心を揺さぶる。
ハルカさんのパワフルなボーカルはそんな三人の音に支えられて、はるか彼方まで響く。
負けられない。
素直にそう思った。
「次で最後の曲です。えっと、私達もちょっとここで新曲を披露してもいいですかねえ?」
ハルカさんは額から流れる汗をそのままにこちらを見た。
アタシ達の後ろにいつの間にか立っていた小塚さんがオッケーと合図を送る。
「プロデューサーとしてはアナタ達だけに新曲やらせるわけにはいかないからね」
そう言って小塚マリコはアタシの頭をそっとなでた。
「負けんなよ。エル」
「それでは聴いてください。キャラメルガールとムーンジェリー」
「もちろん。見ててよ、お母さん」
ひずませたギターの音が海の底のような安らぎを会場に響かせていた。
今回のプロモーションを担当してくれた元サクリファイスのドラムでプロデューサーの、仲川ユキコはアタシ達のことを『元気いっぱいのガールズバンド』だと言っていた。
ハルカさん達ラッドナクスはエッジのきいた音も切ないバラードも幅広くこなす。
アタシ達の売りって何だろうか。
今更そんなことを考えながら、大した睡眠も取れないままアタシ達は会場入りした。
朝から会場の設営を続けるスタッフに挨拶をしてアタシ達は楽屋に入った。
「リハは30分後の15時から、本番は18時。予定が変わってラッドナクスさんが先にライブを行うことになったそうです」
マコモちゃんが変更のあったばかりの予定表を見ている。
「じゃあリハもラッドナクスが先なんだよね。マシュリさん達には少し待ってもらうことになりそうかな」
今日もヘアメイクはリンナの知り合いのマシュリさんとリエちゃんに担当してもらうことになっていた。
「そうですね。私から連絡しておきます。でもラッドナクスさんも担当されるそうなので時間的にはギリギリかと」
「そうなんだ。だったらワタシ達のリハが押さない限り大丈夫かな」
リンナはいつものようにマコモちゃんと話していた。
「ねぇ、エル。今日やる曲の中に新曲入れていいか小塚さんに聞いた?」
その余裕がうらやましいくらいに、アタシ達三人は緊張して何もしゃべれなかった。
「まだ。………リハの時に聞いてみるけど、そんな余裕ないかも」
「だったらワタシが聞こうか? ていうか、三人とも緊張しすぎでウケる」
リンナはそう言ってニヤニヤと笑っていた。
「………リンナのその余裕マジでムカつく。ミク、カエデ、やるよ!」
アタシは手の震えを隠しながら二人を立たせた。
「よしっ、来い!」
そして三人でお互いに背中をたたいて気合いを入れた。
「おーしゃっ! リンナもやるよ!」
「えー、本番まだだよ?」
「本番は本番でまたやるんだよ。行くぞ!」
「えー!?」
そんなやりとりを何回も繰り返しながら、リハを緊張以外の問題なくこなし、何度も背中をたたき合うのをマシュリさんとリエちゃんに笑われながら、アタシ達は本番を迎えた。
「ラッドナクス~! う~! にゃ~!」
ハルカさん達がリカのかけ声で右手を高く挙げて円陣を組んでいる。
それを見ていたアタシ達にハルカさんが気づいた。
「ラズルも来い! やるよ!」
アタシ達は瞬間、緊張を忘れて顔を見合わせた。
そしてすぐにアタシは理解できた。
「はい! 行くよみんな!」
アタシ達とハルカさん達、8人が円陣を組む。
「みんな、私から一つだけ言わせて。私らみんなロックが大好きな仲間だ。何があってもライブを楽しめなきゃ意味がない。だから、楽しめ」
ハルカさんの笑顔がアタシ達全員の心の緊張を溶かしていく。
「ラッドナクス! ラズルダズルリリー! 合同ファーストライブ! 行くぞー!」
「う~! にゃ~!」
みんなで叫んで手を高く伸ばした。
その先の人差し指がみんなで触れ合うと何だか、おかしなテンションになって8人で背中をたたき合った。
もう背中は真っ赤になって熱を持っている。
アタシ達はラッドナクスをハイタッチでステージに送り出す。
舞台袖から見る彼女達のステージは圧巻だった。
リカの力強く激しいのに繊細なドラム、トモコの正確でみんなを引っ張っていくベース、マユコのギターテクはアタシの心を揺さぶる。
ハルカさんのパワフルなボーカルはそんな三人の音に支えられて、はるか彼方まで響く。
負けられない。
素直にそう思った。
「次で最後の曲です。えっと、私達もちょっとここで新曲を披露してもいいですかねえ?」
ハルカさんは額から流れる汗をそのままにこちらを見た。
アタシ達の後ろにいつの間にか立っていた小塚さんがオッケーと合図を送る。
「プロデューサーとしてはアナタ達だけに新曲やらせるわけにはいかないからね」
そう言って小塚マリコはアタシの頭をそっとなでた。
「負けんなよ。エル」
「それでは聴いてください。キャラメルガールとムーンジェリー」
「もちろん。見ててよ、お母さん」
ひずませたギターの音が海の底のような安らぎを会場に響かせていた。