王子様は囚われ王女に恋をする
「カイル様、アリシア様がいらっしゃいました」
部屋で王政の書類に目を通していたカイルは
ブラッドの言葉に思わず手を止めた。
「客間に通してくれ」
机から離れると、執務室の隣の客間へと向かう。
扉を開けるとすでにアリシアがいた。
エメラルトグリーンのドレスに身を包んだ彼女は
固く青ざめた表情をしていたが
その美しさは損なわれていなかった。
「先ほどは手荒な真似をしてすまなかった」
最初に口をついて出たのは謝罪の言葉だった。
「ああするしかなかったんだ」
アリシアは思い出したように腹部に手を当てていた。
「私に何かご用ですか?」
感情を表さない声でアリシアが答えた。
「私を捕虜にしてどうなさるおつもりですか?」
憎しみのこもった射るような眼差しが胸に刺さる。
「捕虜?」
「国を攻め落とし、父や母まで殺したうえに
私を捕虜にまでして何をなさりたいのっ?」
叫ぶように言ったアリシアの言葉に唖然とする。
「国を攻め落とした?この僕が…?」
「ええ、そうよ。父や母はあなたにあんなによくしたのに。
よくも恩を仇で返すような真似ができたものだわ!」
怒りのせいかアリシアの体が小さく震えているのが
見ているだけでも分かった。
「アリシア様、それは…」
カイルは反論しかけたブラッドを手で制すと
エメラルドグリーンの瞳を真正面から見据えた。
部屋で王政の書類に目を通していたカイルは
ブラッドの言葉に思わず手を止めた。
「客間に通してくれ」
机から離れると、執務室の隣の客間へと向かう。
扉を開けるとすでにアリシアがいた。
エメラルトグリーンのドレスに身を包んだ彼女は
固く青ざめた表情をしていたが
その美しさは損なわれていなかった。
「先ほどは手荒な真似をしてすまなかった」
最初に口をついて出たのは謝罪の言葉だった。
「ああするしかなかったんだ」
アリシアは思い出したように腹部に手を当てていた。
「私に何かご用ですか?」
感情を表さない声でアリシアが答えた。
「私を捕虜にしてどうなさるおつもりですか?」
憎しみのこもった射るような眼差しが胸に刺さる。
「捕虜?」
「国を攻め落とし、父や母まで殺したうえに
私を捕虜にまでして何をなさりたいのっ?」
叫ぶように言ったアリシアの言葉に唖然とする。
「国を攻め落とした?この僕が…?」
「ええ、そうよ。父や母はあなたにあんなによくしたのに。
よくも恩を仇で返すような真似ができたものだわ!」
怒りのせいかアリシアの体が小さく震えているのが
見ているだけでも分かった。
「アリシア様、それは…」
カイルは反論しかけたブラッドを手で制すと
エメラルドグリーンの瞳を真正面から見据えた。