王子様は囚われ王女に恋をする
結婚が決まったその日から、城のなかは上へ下への大騒ぎで準備に追われていた。

国中が知るところとなり、結婚のニュースは近隣諸国にも伝えられた。

カイルは公務と式の準備で毎日忙しく、アリシアの顔を見に来ることさえ難しいようだった。

「もう三日もいらっしゃっていませんね」

イライザはつぶやいた。

夜着に着替えたアリシアは静かに微笑んだ。

「仕方ないわ。お忙しいんだもの。代わりに毎日ブラッドが様子を見に来てくれるから、カイル様の様子も聞けるし。式までの我慢だと思えば会えない時間も寂しくないわ」

「そうですね。アリシア様も明日は式のドレスの採寸ですから今日はもうお休みください」

イライザに促されて、アリシアは寝室へと向かった。

ベッドに入り、窓の外の月明かりを見つめていると、自然にまぶたが重くなってくる。

もう少しで本格的に眠りに落ちそうになったとき、ふと何かを感じて目をあけた。

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