王子様は囚われ王女に恋をする
それから数日後。

カイルとアリシアの結婚式が行われる日。

花嫁衣装をきたアリシアは
まばゆいばかりに輝きを放っていた。

その姿を初めて目にしたカイルは
思わず息をのんで立ち尽くす。

「カイル様」

美しい花嫁はカイルを見上げて微笑む。

「誰にも見せたくないな」

「え?」

カイルの言葉にアリシアは首をかしげる。

「綺麗すぎて誰にも見せたくない」

子供のようにいうカイルのそばに寄り添うと
アリシアは彼の腕にそっと手を添えた。

「安心してください。私はあなただけのものですから。
さあ、参りましょう」

しかたないというふうにうなずいて歩き出すカイルが
アリシアはおかしくて仕方がない。

クスクスと笑っていると、急に抱き寄せられた。

「いつまでも笑っていると
その唇をふさいでしまうよ」

そう言いつつも、カイルの瞳は優しい。

「…それは…またあとで」

顔を赤くして恥ずかしそうにするアリシアに
カイルは軽くキスをした。

「カイル様、いいかげんにしないと
式の時間に遅れますよ」

ブラッドが呆れてカイルをせかす。

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