王子様は囚われ王女に恋をする
その日から、アリシアの食事はナターシャが作るようになった。

食事の時間にはタチアナもアリシアの部屋を訪れ
一緒にナターシャの作った料理を食べた。

タチアナの無邪気な明るさに触れることで
沈みんでいたアリシアの心は次第に癒されていった。

だんだん表情も明るくなり、血色の良くなっていくアリシアを見て
心の底からホッとしているイライザだった。

「何もかもナターシャさんのおかげです」

厨房で食事の支度をしているナターシャを手伝いながら
イライザは頭を下げた。

「食事も以前のように取れるようになってきて
本当に何てお礼を言ったらいいのか…」

ナターシャはそんなイライザを見て微笑んだ。

「お礼なんて言わないでください。
カイル王子とアリシア様のお役に立てて
私もホッとしています」

ナターシャの言葉にイライザは首をかしげた。

「カイル王子…ですか?」

「ええ」

ナターシャは不思議そうな顔をするイライザに
自分がなぜ城へ来たのかと打ち明けた。

「カイル王子がナターシャさんを?」

「ええ、そうなの」

カイルがナターシャを呼び寄せたと知って
イライザは戸惑った。

「なぜ…そんな…」

「アリシア様が心配だったのでしょう」

ナターシャの言葉にイライザの戸惑いはますます深まる。
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