王子様は囚われ王女に恋をする
「前から不思議でした。
カイル王子はなぜ捕虜である私たちによくしてくれるのか…」

「捕虜…?」

イライザの言葉に今度はナターシャが困惑したような表情を浮かべた。

「セナールがメルディアンに攻め込んできて
私たちは捕虜になったんですよ」

手を止めて聞いていたナターシャが
イライザをまっすぐに見て言った。

「セナールがメルディアンに攻め込んだなんて話は
聞いていません」

「え…?」

「何かあれば私たちの耳にも入るはず。
アリシア様のことはお預かりしているとは聞いてますが
捕虜だなんて誰も思っていないと思いますよ」

イライザはナターシャの話に驚愕して返事もできなかった。

「詳しいことは分かりませんが
何か誤解があるようですね」

ナターシャは考え込んでしまったイライザを
気遣うようにそう言うと料理をお皿に盛りつけた。

「さあ、料理ができましたから
アリシア様のお部屋に参りましょう」

ナターシャに言われて、イライザは我に返ってうなずいた。




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