王子様は囚われ王女に恋をする
タチアナたちと別れて部屋に戻ったカイルは
大きく安堵の息をついた。

「アリシア様はずいぶんお元気になられていましたね」

ブラッドはそんなカイルに声をかけた。

「ああ、ナターシャに来てもらって正解だった」

城へ戻ったカイルは、タチアナと遊ぶアリシアを見つけて
しばらく声をかけずに見つめていたのだ。

(あんなに明るい笑顔は城へ来てから初めてだ)

カイルはソファに座りこむと天井を仰いだ。

「カイル様、ひとつお耳に入れたいことが」

「何だ?」

ブラッドを見たカイルは、彼の表情から何となく察しがついた。

「何か動きがあったか?」

「はい。城外でメルディアンと関わりのある者たちが
集っていたという情報がありました」

「そうか。引き続き情報を集めてくれ」

「分かりました」

ブラッドはそう言うとカイルの部屋を後にした。

「やはり動き出したか…」

ソファに座って腕を組んだカイルは
そのまま一点を見つめて、しばらく何かを考えていた。

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