王子様は囚われ王女に恋をする
部屋に戻ったアリシアは
もらったドレスを着てみることにした。

畳んであったドレスを広げた時
折りたたんだ紙のようなものが床に落ちた。

「アリシア様、これが落ちました」

イライザはその紙をアリシアに手渡した。

「何かしら?」

紙を広げたアリシアは、驚きのあまり声が出せなくなった。

それは叔父のトーマスからの書状だったのだ。

『アリシア、私は無事だ。
連絡が遅くなってすまない。城からひそかに連れ出す準備をしている。
お前も脱出の準備をしておくように。
それから、セナールの王宮に刺客を放った。
お前の両親を殺したカイル王子の命もこれまでだ』

最後の一行にアリシアは血の気が引いた。

「そんな…」

顔面蒼白になったアリシアに気づいて
イライザはその書状を取り上げた。

目を通したイライザは、アリシアを見た。

「アリシア様、トーマス様はご無事だったんですね。
連れ出してくださると…アリシア様っ?!」

突然床に崩れ落ちるように座り込んだアリシアを
イライザは支えた。

「…イライザ、刺客が王宮に」

「はい、アリシア様、脱出の準備をしなくては」

「カイル様が…」

今にも泣きそうなアリシアの言葉に
イライザはハッとして主を見た。

(アリシア様…、もしやカイル様を?)

震える体を支えてソファに座らせると
イライザはアリシアの手を握った。

「イライザ…、一人にしてくれる?」

アリシアの言葉にイライザはうなずくと部屋を出てた。

「お気の毒なアリシア様…」

部屋を出るとイライザは大きな溜め息をついた。





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