王子様は囚われ王女に恋をする
寝室の扉を開けると、ベッドの上に横たわるアリシアの姿が目に入った。

眠っていることを伝え、イライザに下がるように言うとベッドに近づいた。

「アリシア、寝ているのか?」

カイルは小さく体を丸めるように眠るアリシアを見つめた。

その白い頬には涙のあとが見えた。

(泣いていたのか…)

ベッドに腰かけると、アリシアの頬を指の背でやさしく撫でた。

「…ん」

アリシアは身じろぎすると、薄く目を開いた。

会いたいと思っていたスカイブルーの瞳が目の前にいる。

その視線はとても優しい。頬に触れる手も温かくて心地よい。

(これは…夢?)

アリシアは夢心地でカイルを見つめた。

「アリシア、ベッドの中に入らないと風邪を引く」

優しい声の持ち主はアリシアを抱き上げると毛布をめくって、そこにアリシアを横たえようとしていた。

(夢ならこのままでいたい…)

アリシアは下ろそうとするカイルの首に腕を回して 抱きつき、その胸に顔を埋める。

驚いたカイルはそのまま動きを止めた。

「アリシア…?」

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