王子様は囚われ王女に恋をする
幼い初恋
「お母様!」

アリシアは城の庭園にいる母のもとへ走る。

「アリシア、そんなに走ると転ぶわよ」

その言葉通り、幼い彼女は
足がもつれて派手に転んでしまった。

「痛いっ。お母様~」

大声で泣き出す娘を
王妃は優しく抱きしめた。

「ほら、言ったでしょう?あんなに走るからよ」

抱きしめてもらったぬくもりと安心感で
打った膝の痛みも薄らいでくる。

泣きやんだアリシアを見て、微笑む王妃。

「アリシア、もうすぐカイル王子が来るから
着替えてらっしゃい」

「カイル王子?」

「お隣のセナール王国の王子よ。あなたより少し年上だけど
とっても優しくて良い子なの」

「王子様はアリシアと遊んでくれる?」

「ええ、遊んでくれるわ」

隣国の王子を遊び相手としか見ていない娘がおかしかったのか
王妃がクスクスと笑う。

「すぐに着替えてきますっ」

アリシアは今度は部屋に向かって走り出した。

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