王子様は囚われ王女に恋をする
アリシアが眠りから覚めると付き添っていたイライザは泣き出した。

「アリシア様…よかった」

泣き崩れるイライザにアリシアも涙があふれてきた。

「イライザ、心配かけてごめんなさい」

アリシアは泣きじゃくるイライザの髪を優しく撫でた。

「アリシア」

ずっと聞きたかった声が名前を呼ぶ。
目を向けると寝室の入口にカイルが立っていた。

「カイル様」

反射的に体を起こそうとしたアリシアは肩に激痛を感じた。

「っ…」

「アリシアっ」

珍しく焦った顔でカイル駆け寄る。

「まだ体を起こすのは無理だ。大ケガをしたんだから」

アリシアを諭すとベッドの端に腰かける。

イライザは気をきかせて退出していた。

カイルはそのスカイブルーの瞳でアリシアをじっと見つめる。

「カイル様?」

「アリシア、ありがとう」

突然の言葉に戸惑うアリシアをみてカイルはふっと表情を緩める。

久々にみるカイルの微笑みにアリシアは頬が熱くなるのを感じた。

「君は命の恩人だ」

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