王子様は囚われ王女に恋をする
カイルの手がアリシアの髪を撫で、そのまま頬に下りてくる。

温かい手が心地よくてアリシアは自分から頬を寄せたくなってしまう。

「アリシア、君には感謝している」

「カイル様」

「でももう二度とあんな真似はしないでくれ」

カイルの言葉にアリシアは心が沈んだ。

自分のしたことはカイルにとっては迷惑だったのだろうか?

自分があんなことをしなくても、まわりの兵士がカイルを守ったかもしれない。

余計なことをした。

傷ついた気持ちを隠すようにアリシアは目を伏せた。

「二度としないと約束してくれないか?」

黙ったまま何も言えないアリシアを見て、カイルは静かに言った。

「もし君にまた何かあったら、僕は耐えられない」

「え…?」

思わずアリシアが目をあげた瞬間、カイルの唇が額に触れるのを感じた。

「君を失うかと思った。もうあんな思いはしたくないんだ」

唇がまぶたに、そして頬に下りてくる。

「アリシア、返事は?」

息が触れあうほど近くで見つめられて、アリシアの鼓動はこれ以上ないというくらい早まっていた。

「アリシア?」

返事を催促されて、アリシアはやっとのことで口を開く。

「…約束は…できません」

その返事にカイルのスカイブルーの瞳が大きく見開かれる。


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