王子様は囚われ王女に恋をする
父親がカイルに連絡したことを初めて知り、アリシアは戸惑いを隠せなかった。

「父上からの手紙だ」

カイルが差し出したものを受け取り、おそるおそる目を通す。

そこには紛れもなく父の字で、内情を探ってほしいと書かれていた。

「探らせると、確かに謀反が計画されていることが分かった。そして、その首謀者もね」

「首謀者…」

カイルはうなずくと先を続けた。

「反逆が起こる日は間近に迫っていたんだ。だから君のお父上に知らせようと使いを送り、僕も兵を連れてメルディアンに向かった」

黙りこんだカイルを見ると、苦しそうな瞳とぶつかる。

唇もかすかに震えていた。

「すまない。僕は…間に合わなかった…」

アリシアの瞳から大粒の涙がこぼれ落ちた。

「そんな風に泣かせたくなかったのに。本当にすまない」

何度も謝るカイルにアリシアは首を横に振った。

「謝らないでください」

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