王子様は囚われ王女に恋をする
「どうして…もっと早く話してくれなかったんですか?」

アリシアの問いにカイルは目を伏せた。

「打ち明けても、君のご両親を救えなかったことには変わりない。君には僕を憎む権利があると思った。それにどこにスパイがいるかわからなかったからね。うかつには話せなかった」

カイルを「敵」と思っていた自分をアリシアは後悔した。

アリシアからの敵意を受け止め、それでもカイルは彼女を守り続けてくれていたのだ。

「…ごめんなさい」

カイルに合わせる顔がなかった。

「何も知らなかったとはいえ、あなたに失礼なことばかり…」

うつむいたアリシアの手をカイルは両手で包み込む。

「そばにいてくれるだけでいいと思ってた」

思わぬ言葉にアリシアの瞳が大きく見開かれる。

「君に嫌われていてもそばにおきたかったんだ」

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