王子様は囚われ王女に恋をする
忘れるわけがない。

当然のように言われて、涙が溢れる。

「本当はあんな形でなく再会したかった」

それはアリシアも同じだった。

幼い頃の初恋の相手をずっと思い続けてきた彼女には、あの日の再会はあまりにも残酷で悲しいものだったからだ。

「…よかった」

アリシアは泣きながら絞り出すようにつぶやく。

「もうあなたを憎まなくていいんですね…?」

その言葉にカイルはしっかりとうなずいた。

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