王子様は囚われ王女に恋をする
「謝るから許してくれないか?」

耳元でささやかれて、アリシアの体がピクンと反応する。

「カイル様は…ずるいです」

アリシアはそう言うと、カイルに向き直った。

「そんな風に謝られたら、誰だって許してしまいます…」

エメラルドグリーンの潤んだ瞳がカイルを見つめている。

その瞬間カイルはアリシアを強く抱きしめた。

「ずるいのは君のほうだ」

「え…?」

柔らかい髪に顔をうずめて、首筋にキスを落とす。

「そんな目で見つめられたら、僕は余裕がなくなる」

アリシアの手がためらいながらもカイルの背中に回る。

その手を感じた瞬間、カイルは体が熱くなるのを感じた。

顔を上げると、いっそう潤んでつややかな瞳と目が合う。

カイルはたまらずに、アリシアの桜色の唇に
自らの唇を重ねた。


(キスをするのは何回目だろう…)

初めてじゃないのに、カイルにキスされるたびに
アリシアの体から力が抜けていく。

< 89 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop