王子様は囚われ王女に恋をする
だんだん深くなる口づけに
アリシアは何も考えられなくなっていた。

体を預けてくるアリシアをカイルはそっと抱きあげる。

アリシアは細い腕をカイルの首に回し
その肩に顔をうずめている。

寝室へと向かうと、優しくアリシアをベッドへ下ろした。

「カイル様…」

これから起ころうとしていることは
経験のないアリシアにも分かる。

カイルは不安そうな顔をしたアリシアに
触れるだけのキスをした。

「イヤなら無理にはしない。
だから正直に言えばいい」

優しいスカイブルーの瞳に見つめられ
アリシアは首を横に振った。

「イヤではないんです。
ただ、少し不安なだけで…」

それでも問いかけるような眼差しを向けるカイルは
アリシアに触れようとしない。

「無理しなくてもいいんだ。
僕はいつまでも待つから」

アリシアの髪をなでると
カイルはそのままベッドから立とうとした。

「行かないで」

アリシアはとっさにカイルに抱きついた。






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