失恋ショコラ【短】
食器棚に映るあたしは、黒いゴムで髪を一つに纏め、スッピンに近い程の薄いメイクを施しているだけ。


フワフワとした雰囲気を纏っていたあの子とは、あまりにも違い過ぎて比較する事も出来ない。


そんな事を考えては漏れる、大きなため息…。


運命だと思っていたのはあたしだけだったのかもしれない、なんて思ったけど…


本当はあたしも、運命だなんて思っていなかったのかもしれない。


だって…


篠原が書く主人公のように彼の事をちゃんと好きだったのかどうかは疎か、一人になっても泣く事すら無かったのだから…。


“運命”を語るなんて、おこがましい。


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